復興館では、震災前の大槌町中心部の模型を展示しています。航空写真をもとに、神戸大学の学生達がもとを作成し、町民の方々とともに、克明に色や家の向きなどを調整し、様々な思い出を書き込み、つくり上げました。
3m×3mの模型には、大槌町内の「町方」と言われている地区の全域と、安渡地区や沢山地区の一部が含まれています。町方地区は、町役場、駅、病院、中央公民館等、町の中心的機能を果たしていた施設が集約されていた場所で、津波でほぼ全壊の被害を受けました。だからこそ、この地域がたとえ模型であっても復元された事は、住民の方々にとって感慨深い出来事になっています。ほぼ毎日、この模型を見に町民の方々が訪れ思い出話に花を割かせています。思い出や町の記憶は、それぞれが書き留められ、色分けされた旗に書き込まれ地図の上に置かれていきます。
昔の思い出から震災時の記憶までも、語ってもらった事は全て旗に書き込み地図に置いていくので、この模型の「完成」は無いのかもしれません。でもだからこそ、この模型がただの「町の復元」模型ではなく、「町の記憶」として財産になっていくのだと思っています。